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MdN Design Interactiveで連載中

「Amebaクリエイティブディレクターが選ぶ!
今月のオススメアプリ5選」

今月は独自路線のちょっと変わった【Android向けカメラアプリ】にフォーカス!

 


皆様こんにちは。先日社内のデザイナー向けに「デザインセンター試験」という名の試験を実施しました。「自己理解」をテーマに、Webリテラシーからデジタル加工の基本に関する筆記試験と、簡単な実技試験を用意したのですが、「wwwの正式名称を答えなさい」という問いに対して、「クソワロタ」と答えた若手がいるあたりにジェネレーションギャップを感じました、佐藤です。

さてこの連載では、Ameba内でも話題になった気になるオススメアプリを、UIデザインの観点からご紹介させていただきます。今月は、先月好評いただいた「有料のカメラアプリ」の続編として、「Android用のちょっと変わったカメラアプリ」についてフォーカスし、その独自の機能についてUIベースで考察してみたいと思います。


【没頭させる世界観】表情豊かな白黒写真

1.Hypocam


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価格:無料(2017年4月4日現在)
なんかいい雰囲気に仕上がる度:★★★★★

 

 

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「Hypocam」は、白黒写真の加工に特化したアプリ。カラフルで多彩な加工が当たり前になりつつあるカメラアプリ市場に対して、あえて「白黒」にフォーカスし「白黒」のバリエーションの豊富さが魅力。注目すべきは、一貫したトーンのUIがもたらすトータルの世界観で、白黒で構成されたシンプルなUIは、まさに白黒写真の一部に溶け込むような印象を与える。ユーザビリティもエフェクトを調節したり、フィルターを選択する際の使い心地が非常に良く、より魅力的な白黒写真として仕上げるための最適な演出といえる。

このように、加工結果とUIのトーンを白黒の世界観で一貫させることで、ユーザーに提供したい体験(白黒が持つアナログ感や非現実感)を濁すことなく演出している設計は圧巻である。

▷iPhone: Hypocam
▷Android: Hypocam

【まるでシューティングゲーム】自然な形でアテンドする撮影アシスタント

2.パノラマ360:全体像(Panorama 360 Camera)


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価格:無料(2017年4月4日現在)
撮影がラク度:★★★★★

 

 

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360度のパノラマ写真が撮影できるアプリ「パノラマ360」。デバイスのカメラにも近い機能があるが、有名観光地などでユーザーが撮った写真を見ることができたり、ハコスコを用いたスマホVRとしても楽しめたりと、360度写真の持つ魅力の美味しいところを網羅する。

注目すべきは撮影時に最適にアテンドしてくれるアシスタントUIで、撮影を開始すると、中央に丸いサークルが現れ、画像を合成するために必要な撮影ポイントに点があるのがわかる。ユーザーはこれを中央にあるサークルで拾い集めていくように操作すると、綺麗な360度パノラマを撮影できる仕様となっており、まるでシューティングゲームの照準を合わせるような感覚で操作することができる。このように、一見複雑な操作に対して、自然な形で操作をアテンドしてくれるこの仕組みは、ユーザーの使い心地を左右する重要なおもてなしである。

▷iPhone: Panorama 360 Camera
▷Android: パノラマ360:全体像

 

 

【変幻自在な使い方】ユーザーのクリエイティビティを刺激する

3.Photo Editor Lidow Sweet Cam


3_Lidow_Sweet_Cam_icon_170403181523価格:無料(2017年4月4日現在)
ついついぼかしたくなる度:★★★★

 

 

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写真に対して、あの手この手で加工が楽しめるアプリ「Photo Editor Lidow Sweet Cam」。エフェクトを重ねてかけることで、オリジナリティのある加工を楽しめるこのアプリだが、注目すべきは提供している機能にある。いわゆる写真加工系のアプリにあるようなフィルターや文字入れなどの機能に加え、「マスク処理」を用いた独自のエフェクトが特徴的で、処理によって画像の印象が劇的に変化するのがユニークである。 操作もタップとスワイプのみで行えるため、複雑な加工をよりライトに楽しめるように工夫されている。

▷Android: Photo Editor Lidow Sweet Cam

 

 

【だれでも巨匠に!?】シンプルな操作と圧倒的なユーザー体験

4.GoArt


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価格:無料(2017年4月4日現在)
結果に思わず声が出る度:★★★★★

 

 

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「GoArt」は、何気ない写真をワンタップで精細な絵画のように変えることができるユニークなアプリ。人工知能(AI)を用いて、ゴッホやピカソといった美術界の巨匠の作風を模して即座に加工してくれるという機能を持つ。

注目すべきは「シンプルな操作」と「精細な結果」のギャップで、ユーザーは写真を選んでフィルターをタップするだけというシンプルな操作に対し、加工後に表示される結果のクオリティの高さに驚かされる。このように、ユーザーの期待を良い意味で裏切ることでアプリを使うメリットを訴求し、AIによって写真ごとに最適に加工を施すことで、使う度に新鮮な印象を与えることができ、結果継続的な利用につながっているのかもしれない。

▷iPhone: GoArt – Art photo maker and photo editor
▷Android: GoArt

 

【まるで万華鏡!?】1枚の写真がもたらす予定不調和

5.Mirror Lab, distort effects


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価格:無料(2017年4月4日現在)
元写真はなんでも良い度:★★★★

 

 

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写真に対して、様々なミラーエフェクトを用いて万華鏡のような写真を作り出すことができるアプリ「Mirror Lab, distort effects」。注目すべきは、こちらも「GoArt」と同様、何気ない写真に起こる「予想外」の結果と、ルールがもたらす「安心感」にある。ユーザーはフィルターを選ぶような感覚でミラー効果のあるエフェクトを選択していくのだが、画面上の操作方法に従って歪みの度合いをいじることで、一定のルール内で「面白い歪み」を探すことができる。

このように、複雑な加工に対してユーザーの操作を心地よく縛り「どんな操作をしても面白い体験ができる」という、最適なユーザー体験をしてもらうためのルールこそが最も重要なのである。

▷Android: Mirror Lab, distort effects

「ギャップ」というユーザー体験をどう演出するかが鍵


今回紹介したアプリはどれも独自の機能を持っていて、ユーザーの期待と想像に対しての「ギャップ」をうまく演出しているものばかりを選りすぐってみた。 ユーザーリテラシーが向上し、成熟しつつあるアプリ市場の中で、ユーザーが求める機能を提供するだけでなく、体験したユーザーに対するサプライズをどう演出していくかが、数あるアプリの中で埋もれないためには必須なのかもしれない。

 

クリエイティブ 執行役員| インターネットテレビ局「Abema TV」や、音楽配信アプリ「AWA」、キュレーションメディア「Spotlight (スポットライト)」、無料ホームページサービス「Ameba Ownd」など、主にユーザー向けのメディアサービスのデザイナーを統括し、クリエイティブ責任者として各サービスのUIデザインを監修。